北 岳

記 桂 慶子 

 

 1日目:朝早く駐車場に到着し、縦走隊は1日の行動時間が長いため朝食後すぐに出発する事にした。広河原から白根御池まではうっそうとした樹林帯で、草についた朝露が虹色に輝きまるでダイアモンドのように綺麗であった。なかなか傾斜がきつくてしんどい登りであったが、傾斜が緩くなり歩きやすくなったなと思っているうちに白根御池に到着した。しばらく休憩した後、草すべりと呼ばれる道を通って小太郎尾根まで登るのだが、この草すべり、本には
 「タカネグンナイフウロ、ミヤマハナシノブ、シナノキンバイ等の美しい高山植物に迎えられ、苦しい急登を忘れられるほどだ」
 とあったが、まわりには枯れ草が多く苦しい急登を忘れられるわけがない。草すべり、ダケカンバ帯をぬけ、小太郎尾根に到着する途中で12:00の無線連絡。その後順調に小太郎尾根分岐に到着。甲斐駒ヶ岳と仙上ガ岳は残念ながらあまり見えなかったが前日の疲れも何のその、思ったより順調に来ることが出来てほっとする。小太郎尾根分岐から小太郎山へ続く登山道を下見しているとき、富山県?から来たというおじさんグループに会いいろいろとお話しした。小太郎尾根分岐から北岳肩ノ小屋までは平坦な道で快適であった。少しづつだが、高山植物が紅葉しており、ハイマツの緑に混じりながら真っ赤に輝きとても美しかった。

富士山 北岳肩ノ小屋に到着したとき、先程のおじさんグループの方が私達3人にビールをプレゼントしてくれた。ちょうどビールを買おうと思ってた所なのでラッキーであった。それからテントを張ってすぐ夕飯のα米とフカヒレスープとふりかけを食べ昼寝をしたが、さすが標高3000m、テントの中でも寒かったため正直言ってあまり寝ることが出来なかった。夕刻になりまわりが騒がしくなったので何だろうと外にでると、先ほどまで嫌なぐらいにガスって何も見えなかった空が、所々雲はあるが遠くの山々が見えるくらい晴れていた。甲斐駒ガ岳、仙上ガ岳、鳳凰三山、富士山が良く見えた。その他名前の知らない山々も幾つか見えていたと思う。もくもくっとした雲と山が混ざった景色もなかなか絵になるなと思った。富士山があんなに近くに見えるなんて知らなくて、大きく見えた富士山は何だかとっても得した気分だった。ホットミルクを飲んでほっとした後テントに戻り就寝した。シュラフカバーしか持っていかなかったが雨具とフリースを着込みエアマットを敷いて寝ると結構暖かかった。

 

 

北岳と三人の美女? 2日目:朝、何と3時に起きて朝食を取りまわりが真っ暗なうちに小太郎山へ向かう事にした。ヘッドランプのみを頼りに道を探しながら慎重に移動しなければならなかったが、まわりは濃い霧に包まれていてより一層視界が悪かった。小太郎山は思ったより遠く感じた。途中道を見失いとんでもないガレ場を通ることになった。石の状態を甘く見て、浮き石に足をのせてしまいバランスを失って左膝を強くガツンとぶつけてしまい、思いっきり痛かった。くれぐれも浮き石には注意しましょう。

 小太郎山?についたときちょうど周りをとりまいていた霧が晴れて仙上ガ岳が見えていた。甲斐駒ヶ岳はもうすぐ見えそうで少ししか見えなかった。私たちがその日小太郎?についた最初の人間だと思いきや、何と北岳方面とは反対方向から人が来たので「どこから来たんですか?」と尋ねると、「太郎」と言ったので、「向こうは太郎山。そうだ、だからここは小太郎であるに違いない!!」と思った。写真で見たときは頂上に「小太郎山」というプレートがあったのだが、今回行った小太郎山にはプレートがなかった。本当に小太郎だったのか?と言うことはどうでも良くて、しばらくそこで休憩して6:00の無線連絡の後来た道を戻った。左側に富士山と鳳凰三山が綺麗に見えていた。途中ブルーベリーのような紫の実がなってたが、私は怖くて食べることが出来なかった。寺澤さんは食べた。後で体の具合は大丈夫だったのだろうか?

 小太郎尾根から北岳に向かう途中橋本さんが心配そうに迎えに来てくれてた。心配かけて申し訳なかったです。テン場の手前付近で雨が降りだした。「バットレス隊、大丈夫か?」と思いつつ雨の止むまでテントで休み、ちょうど雨が上がったので北岳へ向かって出発することにした。荷物が重く感じたが北岳の頂上らしきものが見えると休みながらも早くそこへ着きたいという気持ちになった。そしてとうとう北岳頂上到着。仙上ガ岳と雲と青空が見えてなかなかいい感じであった。続きの稜線の向こうに北岳山荘が見えていた。頂上で3人を入れて写真を撮った後、八本歯のコル向けて出発した。そこに荷物を置き八本歯の頭を往復した。頭からは北岳およびバットレスが写真のファインダーに収まりきらないほどの迫力でそびえていた。12:00の無線連絡。バットレス隊は1組が頂上に到着したということであった。

北岳 八本歯のコルから大樺沢二俣までの下りは結構きつく、道の右側は針のような岩がたくさん突き出ていた。橋本さんか寺澤さんが「見てみて、地獄みたい」と言いグサッと胸に岩が突き刺さってますみたいなことをしていた。落ちたら本当に刺さりそうだ。ちょっと怖かった。途中樹林帯の下りでは青虫がたくさんいた。大樺沢ならぬ青虫沢だ。樹林帯をぬけ、沢沿いの道を歩いていたのだが、はじめは道しるべを確認しながら歩いていたがだんだん道に慣れてきたせいか、道しるべを確認せずにあたかも富士山の砂すべりのようにガンガン下りていくうちに雪渓の近くまで下りてきてしまっていた。大きな岩にはD沢と書いてあった。まわりは良く見ると踏み跡がない。そこに着いて初めてルートを見失ったと分かった。私はどうしたらいいかとおろおろしていたが2人は冷静に登山道に戻ろうとしていた。そして何とか川を渡りもろい所を登って登山道に戻ることが出来た。後で寺澤さんにどうしてあそこに登山道があると分かったのか聞いてみると槍沢にも沢の左側に道があったからと言った。さすが、過去の失敗を生かすとはこのことですね。これからは道しるべは見失わないように気をつけねば。少し下り後で振り返ると、一歩間違えたら帰って来れなかったかも知れないくらい危険そうな所だった。

 二俣に到着し15:00の無線連絡。なんとバットレス隊はもう既に二俣を通過し白根御池から下山途中だということだった。私達が迷ってる間にいつのまにか抜かされてしまったようだ。二俣からは駆け足で広河原まで下山した。私は下山時に走って下りたことは1度もなかったのでかなり正直言って怖かった。しかしそれ以上に怖かったのは私たちより後から猛スピードで私たちを抜かしていったあるお姉さんであった。私たちが急行列車なら彼女は新幹線といった感じだった。広河原までの下山では口数も少なくなっていた。きっと怖い顔をして下りていたはずだ。鏡で見てやりたかった。そして無事に広河原に到着。おつかれさまでした。下山後飲んだビールがうまかった。

 最後に:南アルプスへ行くのは今回が初めてだったため、北岳ってどこにあるの?から勉強する必要があった(本邦第2位、3192mは知っていたのだが)。北アルプスと比べると登山道についている道しるべも幾分わかりにくかった所があったが、綺麗に整備されきっていない分より自然に近い状態での山歩きが楽しめるのではないかと思った。今回は正直言って天候に恵まれたとは言い難かったが、上手い具合に紅葉に巡り会えたのは幸運であった。今度は花の綺麗な季節に白峰三山や鳳凰三山、それから甲斐駒ヶ岳や仙上ガ岳にも登ってみたいなぁと思った。ひそかに期待していた雷鳥だが今回は天候があまり良くなかったにもかかわらず見ることが出来なかった。でも、南アルプスにも雷鳥はいるみたいなので次回は見られたらいいなぁと思った。沢沿いの下りの道と浮き石には注意しなければ。

 そして、今回の山行に協力して下さった皆様、ありがとうございました。

 

 

【9月15日(土)】
駐車場発(5:58)→広河原山荘(6:15)→白根御池着(8:58)…白根御池発(9:45)→
小太郎尾根分岐着(12:14)…小太郎尾根分岐発(12:35)→北岳肩ノ小屋(13:08)

【9月16日(日)】
北岳肩ノ小屋発(4:15)→小太郎尾根分岐(4:45)→小太郎山?着(5:45→小太郎尾根分岐(7:15)→
北岳肩ノ小屋(7:45)…北岳肩ノ小屋(9:48)→北岳・両俣小屋分岐(9:52)→北岳山頂着(10:17)
北岳山頂発(11:00)→吊り尾根分岐(11:13)→八本歯のコル(11:58)→八本歯の頭着(12:15)
八本歯の頭発(12:47)→八本歯のコル着(13:10)…八本歯のコル発(13:15)→大樺沢二俣着(14:55)
大樺沢二俣発(15:05)→広河原山荘着(16:13)

 

 

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