連載第13回    今月の一冊

『 エンデュアランス号漂流 』        

                 アルフレッド・ランシング著
                        山本 光伸訳

                      記 岩田


 前もって言っておくけど、この本は山には関係ありません。悪しからず。でも、極限状態からの生還という題材からは、山屋にとっても学ぶべきものも多いのではないかと思い、敢えてここで取り上げてみました。(ちょっと強引?)

 時は1914年12月、英国人探検家アーネスト・シャクルトンは、アムンゼンらによる南極点到達に続いて、南極大陸横断に挑戦します。ところが、船は途中流氷に行く手を阻まれ、ついには流氷の圧迫により沈没してしまいます。
 氷の海に取り残された彼らを次々に困難が襲います。まずは寒さ。南極ですから当然寒いです。濡れたりしてボヤボヤしていればすぐに凍傷になってしまいます。そして食糧不足。沈みゆく船から持ち出せる食料、その他資材には限りがあります。足りない分は現地調達するほかありません。幸いにも氷の海にはアザラシやペンギンなど、食料にも燃料(脂肪分)にもなる生き物に恵まれていました。しかし、それらも季節によってはまったく姿を消してしまいます。
また、彼らの漂流のほとんどは、氷盤の上ですが、それらはいつ割れるとも知れないものです。実際氷が割れて海に落ちたり、何度も危険な目に会います。
 最後は賭けような航海で脱出を試みます。そしてついに乗組員28人全員が奇跡の生還を果たすのです。救援など期待できない状況で、なんとこの史上最悪の漂流は17ヶ月にも及びました。
 
 率直な感想としては、人間って意外と強いんだなあということです。困難な状況下であっても、そんな漂流生活を楽しんだりしているところもあります。それぞれ胸のうちでは生還できる可能性がほとんどないことは承知していても、決してそれを口には出さず、悲観的・絶望的なムードにならないよう努めます。
 また、極限状態ではいさかいが発生したりして、かえって危機的な状況を引き寄せてしまうものですが、ひとりひとりが自分達の置かれている状況をきちんと把握し、シャクルトンの指揮に従います。シャクルトンの強い意思と指導力のが集団をまとめあげたと言えるでしょう。
 とにかく想像を絶するほどに絶え間なくさまざまな危機押し寄せますが、それがまるでスピルバーグの映画のように次々に展開します。不謹慎と思いつつも楽しく読んでしまいました。仮に映画したらインディージョーンズよりも面白い映画になるかもしれません。

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