八ヶ岳 小同心クラック
メンバー:Y瀬、てっしー(記)
登攀日:2007年2月11日
<記録>
9:00 赤岳鉱泉(ベース)発
11:10-12:30 小同心クラック取り付き
15:00 小同心 頭
16:00 横岳頂上
18:00 硫黄岳経由 赤岳鉱泉着
<きっかけ>
2年前になりますが、行者小屋ベースで阿弥陀北稜と石尊稜の2つのバリエーションルートに登って、寒さは厳しいものの程よい緊張感を味わうことができました。夜の関東勢との飲み会が楽しかったというのも印象の強いところです。
今回、ichiさんとこの2月の連休でベースを合わせてという調整をしたのですが、うまくメンバーが集まらず、Y瀬さんと二人で行くことになりました。どのルートに登るかで悩んだのですが、八ヶ岳でも岩の要素の強い小同心クラックを狙うことにしました。
前後の2日は、これまで私がアイスクライミングに縁がないということで、ジョウゴ沢、美濃戸口の滝に連れて行ってもらいました。 #敬語体ここまで。
<積雪期登攀>
当日の天気は、薄曇りで赤岳鉱泉から小同心は見えず稜線は風が強いことも予想されたが、まずは取り付きまで行ってみることにした。大同心までは急傾斜の大同心稜を登るが、トレースもあり雪も膝下くらいで順調に進む。大同心取り付きに着くと雲稜ルートを登っている2組のパーティが見える。大同心取り付きからは岩壁伝いにトラバースしていくのだが、足の置けるスペースが小さく右側はそれなりに切れているので緊張する。
やっと小同心取り付きに着くが、1ピッチ目を終わろうとする2人パーティの次に、今から登ろうとする6人パーティがいた。少し時間的に不安を覚えるが、順番待ちすることにする。ときおり晴れ間はあるが、それなりに風も吹いているのでツェルトにくるまり、中でガスを焚いて寒さをしのぐことに。このあたりは経験のあるY瀬さんがいてよかったと思った。
さて、1時間ほど待っても6人組の最初の2人が1P目を抜けてないようだ。明るいうちに降りようと思うと遅くとも13時には登り始めないとやばいということで、13時になっても取り付けないようならこの日はあきらめようという雰囲気になってきた。遅めに出て他のパーティがいないところを登ろうと考えた作戦が裏目に出た感じだ。12:20頃、前のパーティの会話で、我々に先を譲ってくれるという声が聞こえた。「ラッキー」とばかりに、すぐに準備に取り掛かる。譲ってくれたパーティは今回はあきらめたようだ。
当初、Y瀬さんが1ピッチ目の予定だったが、待っている間に冷え切ったということで自分が先にリードすることになった。雪のついた岩というのは初めてではないが、今回の岩の冷たさは格別だった。おそらく気温はマイナス15度くらいで、何手か続けて岩を触ると手の先がジンジンする。手袋は薄手のものを3枚重ねたが、これくらいではだめなようだ。1ピッチ目は40mくらいで、2箇所ほど乗っこす部分があるが、手袋ありでもしっかり持てるホールドも多く先客のおかげで雪も払われていたため無難にこなす。ただビレイしているときがつらく、顔には小雪交じりの寒風があたる。風邪が治りきってなくて鼻水も出るため、目出帽の口元も再三開けゴーグルもしてなかったのが後で痛い目に遭うことに。。。
2ピッチ目はY瀬さんがリードしたが、岩には雪が積もり苦戦しているようだ。風のせいかお互いの声がほとんど聞こえず、ロープの出方と間合いでコミュニケーションをとる。2ピッチ目はチムニー状のところを登っていく。20mくらいか。
3ピッチ目、トポではトラバースからということになっていたが、引き続きクラックが続く。すぐ上に突き出ている岩を乗っこせば後は難しくなさそうということで取り付いてみるが、雪をどけないとホールドがわかりづらく、しっくりこないホールドで体を岩から離そうとしたが、パンプしてきたので一度戻る。再度挑戦するが、やはりこの状況で落ちることは許されないので、狭い岩の間に体をねじ入れ不細工な登りで突破する。その後も必死で雪を掻き分けながら残置ピンやホールドを探すが、どかした雪が巻き上げて顔や眼鏡に張り付き結構悲惨な状況だ。指もかなりしびれてきたので、20mくらいでピッチを切る。
トポでは3ピッチで頭なので、もう少しかなと思いつつY瀬さんに次を任す。最後は10mくらいで頭に出る。大同心の方を見ると雲稜ルートに取り付いていたパーティの一人が大同心の頭に着いたようだ。2パーティ目は見えない。やはりこの条件下の大同心は大変そうだ。
我々は横岳までコンテとスタカットで登り、無難に一般登山ルートで帰ることにした。
しかし、この稜線歩きも体ごと吹き飛ばされそうな風でまっすぐ歩けず大変だった。だが雲はだんだん晴れていき、稜線を外れて森林地帯を下る頃にはきれいな夕日が八ヶ岳の峰々を染め、厳しい登攀のあとには格別だった。
<代償>
次の日起きてみるとほっぺに黒い跡が残り、指先も少し痛い。軽い凍傷にかかったようで防寒対策には十分気をつけないといけないと改めて思った。今回は、自分の実力相応のルートに、冬の厳しさを味わいながら完登できてよかった。一緒にザイルを組んでくださったY瀬さんに感謝したい。