初の冬季八ヶ岳
記:松下
私は、冬山登山の経験がほぼ無い。ほぼと言うと語弊あるかもしれない。どちらかと言うと全く無いと言ったほうが正しい。そのほぼに当たる一度と言うのが、木曽駒ケ岳での雪上訓練だった。そしてこの訓練の時は、荷物もそれ程重くなかったうえに、バスとロープウェイを乗り継ぎ頂上付近まで行けた。しかし、それほど重くない荷物とはいえ、アイゼンをつけ初めての雪上では思った以上にバテバテだった。
ただ今回の八ヶ岳は違う。前回以上に荷物も多いし歩かなければならなかった。そのため不安と期待が入乱れていた。体力がもつだろうかと言う不安、初めての冬山での本格的な縦走という期待、ただどちらも私にとっては心地よかった。
そして当日を迎えた。しかしあいにくの雨、しかも天気予報では昼過ぎまで雨、雪に変わる気配は無いとの事。夜10時に京都駅に集まるも、予定を変更し、仮眠をとり朝4時に向かう事にした。そして現地で雨が上がる昼前まで待とうという事になった。そして車でいける登山口まで進み用意することにした。しかし、これが大きな誤算であった。スタッドレスを付けた2台の車で向かったが、路面が凍結し四駆でない車では到底進めない状況に陥った。このため全員で車を押したり誘導したりと、大変な出だしになった。これも冬山ならではの経験だと思いつつ、皆のチームワークによって事無きを得た。この時の素晴らしいチームワークには本当に感嘆した。
そして美濃戸口から出発しようとするも雨の為、雪に変わるギリギリまで待とうという事になった。唐橋さんの予測では、昼過ぎから徐々に気温が下がり雨から雪に変わる、その時にベースキャンプに向けて出発しようという事になった。そして本当に雨から雪に変わっていった。多くの登山者が待ちきれずに雨の中を出発していったが、ベースキャンプまでの時間配分を逆算し、見事雪に変わるまで待つことができた。これには本当に脱帽した。そして歩く事、約一時間半、赤岳ベースキャンプに先についた者でテントの用意をした。用意したテントはエスパーと言うものだった。そしてこのテントは、縦の居住空間がとても広く少しぐらい立ち上がっても平気でとても快適なテント空間であった。こうして快適なテント空間の中で首藤さんの作った芋汁で温まりながら明日に備えた。
2日目は、二つのグループに分かれた。宮川さん、妹尾君のアイスクライミング組、唐橋さん、首藤さん、手嶋さん、そして私の縦走組にわかれた。中西さんは体調不良のためテントで待機していた。
『いよいよ本格的な冬の山に行く。』
とわくわくしながら用意するも、なかなか段取りが悪い私はいつも少々焦り気味であった。焦るとろくな事は無いのだが、装備にしてもまだぎこちない使い方での出発であった。行者小屋までは平坦な道のりであり、途中地図の見方や現在地の確認のしかたを教えてもらい、実際に歩く行程を地図と確認しながらイメージする事の大切さを教えてもらった。しかし地図の読み方がいまいちな私にとって本当にためになる話ばかりであった。その後小屋付近で小休憩を取り、地蔵尾根をつたって頭に出た。この頭付近では急激な突風を何度も受けた。しかし、突風を受ける際の姿勢や風が休まった時の歩き方など、様々な指示を受け無事に進むことができた。この突風は、本当に怖かったが私にとって貴重な経験になった。その後も足場の悪い場所の歩き方や、アイゼンワーク、そして降りる際の注意すべき事などをおしえてもらい無事に横岳を超えた。そして硫黄岳に着いた時には、この付近の視界も非常に悪くなり、標識を頼りにするもやはり、地図とコンパスで正確な位置確認をする必要があった。赤岩の頭付近に出たことを確認する為に一度上まで上り、トレースが無いか確認するなど本当に冬山での緻密さを見せていただき非常に勉強になる経験であった。この付近で少しホッとした私であったが、林道をショートカットしていこうとする先輩方についていけず、膝も痛くなる始末。やっぱり最後に体力の衰えと運動不足を思い知らされた。しかし横岳頂上や赤岳展望荘からみた景色、さらに快晴の中みえた富士の山は本当に素晴らしかった。そして二日目の晩は鮓本リーダーの鴨鍋をつつき冷え切った体を温めた。
最終日は、下山し登山口付近の氷で宮川さんと鮓本リーダーにアイスクライミングの初歩的なことを教えていただいた。何もかもが初めての体験であり、怖さもあったが本当に楽しかった。
今後は少しずつ冬山の経験を増やしていきたい。また何よりも地図の読み方やロープワークなど初歩的な勉強をもっとしなければならないなと思える実りのある山行であった。皆様お疲れ様でした。